睡魔の先の花園

約2000年前に成立されたとされるヨガの根本経典「バガバッド・ギーター」には、私たちの人生をより素晴らしいものにしてくれる古代賢者のさまざまな智恵が記されています。この「バガバット・ギーター」にこのような一説が記されています。
「純質的幸福とは、最初は毒のように苦く、後に甘露のように甘くなる」
純質とはヨガで理想的な状態のことを言います。言い換えれば「理想的な幸せは毒のような苦しみの後に訪れる」とギータ-では説いています。

例えば登山で考えた時、険しい山道を自分の足で苦労しながら登り、やっとの思いで辿り着いた山頂から見る景色と、ほんの数分でロープウェイで登った後に見る景色は、同じ場所から見る景色であるにもかかわらず、まったく違って見えるはずです。私たちの多くは出来ることならば苦しみは避けて通ってしまいたいと思いがちだと思います。全てにおいて、より早く、そして、より楽をして甘露を手に入れようとする現代社会・・・だとしたら私たちが今感じている幸せというのは「ギーター」が説いている理想的な幸せなのでしょうか?

私は休日を利用してよく車で家族と出かけます。先日迎えた結婚記念日は妻の希望もあり茨城県ひたちなか市にある、国営ひたち海浜公園へ有名なネモフィラの花を見に行くことにしました。高速に入り順調に道を進んでいくと首都高速を越えたあたりから渋滞が始まりました。はじめは渋滞中も家族で楽しく会話を弾ませにぎやかに過ごしていましたが、朝が早かったこともあり、気がつくと一歳半になる息子は気持ちよさそうに眠ってしまいました。息子も寝て久しぶりに夫婦だけの静かなドライブが楽しめるとハンドルを握っていると、やけに車中が静かになりました。ふと妻を見ると、息子と一緒に寝ているではありませんか!?昨晩も妻は夜遅くまで息子の面倒を見ながら仕事をしていて寝不足だったのでしょう。こんな時ぐらいはゆっくりと寝てもらおうと起こすのをやめました。それから、渋滞が始まってしばらくたつのですがなかなか前に進みません、すると次第に私まで眠気に襲われたのです!昨晩、明日は休みだからと調子に乗り深夜のアーサナプラクティスをやりすぎて、体中筋肉疲労を起こしていました。とてつもない大きな睡魔が、押し寄せる波のように私に襲いかかります。事故を起こしてはいけないと頬をつねったり、叩いたりしてなんとか睡魔と闘いながら車を運転し続けました。その後何度も押し寄せる睡魔と闘い続けていると、ようやく渋滞は解消され何とか無事に目的地に到着することが出来ました。

国営ひたち海浜公園はとても広く、東京ドーム40個分の敷地があります。公園内の移動は自転車をレンタルし、妻が楽しみにしていたネモフィラの花畑へ向かいました。しばらく自転車をこぐと目的の丘にたどり着きました。そこで私は一瞬目を疑いました。青く美しいネモフィラの花があたり一面覆いつくし、まるで絨毯のように咲き誇る景色が広がっているではありませんか。言葉を失うほどの美しさに息子も大喜びで妻は「本当にきれいね、遠いところまで来てよかった」と感動していました。きっと2人の目に映るネモフィラはとても綺麗ですばらしかったのでしょう。しかし!!これは内緒ですが、眠い目を擦りながら苦しんで苦しんで出会う事の出来た私の目に映るネモフィラの方が格段と美しかったはずですよね(笑)。辿り着くまでの間に毒のような苦しみを経験したからこそ純質的な幸福を手に入れることが出来たと満足しながら帰路に着きました。

このようにして私たちが普段受け取ることを拒否してしまいがちな苦しみが、私たちをより幸福へと導いてくれる可能性があります。日々の生活の中で私たちが感じる苦しみというのは、この後に待っているであろう人生のメインディッシュをより素晴らしいものに変えてくれる魔法のスパイスなのかもしれません。

今皆さんの前にはどのような現実が広がっているでしょうか?
もしも毒のような苦しみが差し出されているならば、拒むことなくありがたくその苦しみを受け取ってみて下さい。きっと苦しみを多く受け取ったほど、この後の人生が素晴らしい色へと変化していくはずです。これからは苦しみを避けることなく理想的な幸福を手に入れられますように。
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