楽園へと続く有料道路

2000年前に成立されたとされるヨーガの根本経典ヨーガスートラ。
その中にこんな教えが記されています。
「非暴力(アヒンサー)に徹した者の側では、すべての敵対が止む」
非暴力というのは暴力を慎む教えです。殴る蹴るの暴力はもちろんの事、暴言を吐いたり、そして心の中で暴力的に考える(=思いの暴力)も排除しましょうと説いています。

ヨーガでは万物には固有のバイブレーション(波動数)が存在すると考えます。
私達の心の中が穏やかな時、心が波立っている時など、その時の心のあり方によって異なった波動を出して周りへと影響を与えています。

例えば苛立っている人の側に居ると、こちらまで嫌な気持ちになってしまったという経験は無いでしょうか?
私達が怒りの感情に支配されてしまえば、目の前の全てに影響していき、やがては怒りに満ちたネガティブな世界が広がって来ます。
目の前に差し出されている現実が平和で穏やかな世界であれ、荒れ狂う波のような世界であれ、それは自らの心のあり方が目の前に映し出されていると言えるでしょう。
世界中の人達が争う事無く微笑む事が出来れば、この世界から暴力は無くなり平和で安らかな楽園が広がって来るのではないでしょうか?

先月、連休を取り家族で初めての一泊旅行に行ってきました。
9ヶ月になる息子と一緒なので、赤ちゃん設備も整った軽井沢のホテルに決めました。
大自然に囲まれた広大な敷地にあるホテルで、おしゃれな北欧風の作りで家族も大満足です。
その日は長旅の疲れもあり、先ずは温泉につかり疲れを取る事にしました。妻には内緒でしたが、この旅のもう一つの目的は産後から9ヶ月になってもずっと3時間おき授乳しながら、仕事もこなしている妻を労う目的もありました。
そのホテルの魅力は赤ちゃんと一緒に温泉に入れる事で、妻にはゆっくり温泉に浸かってもらおうと私が息子と一緒に温泉に入りました。
初めての場所、初めての温泉、そして回りは見知らぬ裸のオジサンだらけ・・・脱衣場で服を脱いだ時には、今まで聴いた事の無いような叫び泣きをされてしまい大慌て(汗)。
旅行前からすごく楽しみにしていた息子と入る記念すべき初温泉も、結局は数秒しか入れませんでした(泣)。

楽しい旅行1日目を終え、2日目は観光をしたかったのでホテル近くにある白糸の滝へ向かいました。
車でひたすら続く一本道を進んで行くと、ここからは有料道路の看板が出できました。
その道を通らなければ滝まで行けないので料金を支払い先へと進みました。
ですが、ほんの数百メートル走っただけで道路は終わってしまい、新たな料金所が出てきました。
「なんでまた料金所が?」なかなか状況が読み込めませんでしたが、料金を支払わなければ先へ進めません。しかたなく支払いを済ませ車を進ませると、またすぐに有料道路終了の看板が出できました。
私は心の中で「これだけ払ったのだから、もう料金所は出て来ないでしょ~」と思っていましたが、まさかのまさか!また料金所が出てきました。
引き返すにも料金が再度掛かるので滝へ行くには進むしかありません。
「1度に請求してくれればいいのに何でこんな事をして来るんだ!」と言う思いが出てきて、それまで静かだった心がだんだんと台風の日の波の様に波立ってきました。

車内での妻と話す会話もトーンが低くなり、私の放つバイブレーションが怒りに変わっていきました。すると、それまで寝ていた子供が「オギャー オギャー」と泣き始めました!
とても必死に泣く息子の泣き声がなんだか「お父さん、アヒンサ~アヒンサ~」と聞こえ胸に「グサッ!」っと刺さりました。
このままではいけないと思い気持ちを入れかえる為、窓を開けて深呼吸しました。
新鮮な空気を沢山吸い入れ、それまで波立っていた私の気持ちも収まりました。
するとハッと気付きました!!
外を見ると壮大な浅間山がそびえ立っているではありませんか。
きっと支払った通行料は、宝石の様なこの素晴らしい景色を守る為に使われているんだなと思うと、小さな事で心が波立っていた自分が恥ずかしく思えてきました。
私の心が怒りの感情で乱されていた為、私の前にはネガティブな世界が広がっていました。もしもあの時にぷんぷんと怒り続けていたら車内にいる家族の気持ちや、目の前に広がる素晴らしい景色さえも気付く事が出来ずに、きっと後悔していた事でしょう。
それからは、アヒンサーの大切さを再認識させてくれた浅間山、そして家族に感謝をしながら残りの旅行を笑顔で思う存分楽しむことが出来ました。

私達の多くは自分の望む現実が起こっている最中は自然と微笑んでいられます。
ですが、ひとたび気に入らない事が目の前で起こると急に心が波立ち、目の前の世界に対して攻撃的になってしまうのではないでしょうか。
たとえ自分の望まない現実が目の前に差し出されたとしても心を波立たせる事無く、ありのままの世界に対して優しく微笑む事が出来たのなら、私達はいつでも楽園の住人になれるはずです。
皆さんの目の前には、どの様な世界が広がっているでしょうか?
もしも目の前に拒絶してしまいたくなる様な現実が差し出された時、自分の心のあり方に目を向けてみましょう。
私達がこの世界に優しく微笑みかければ、きっとあなたにも微笑み返してくれるはずです。

世界中の人々が非暴力(アヒンサー)の教えによって平和な人生を送れます様に。

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